家づくりの流れの中で、一番最初にはじめることは、自分たちの「ふつう」を知り、家族の理想の暮らし方、要望をまとめることです。この取りまとめが、パパのはじめの重要な仕事です。
まとめ
- 家づくりの第一歩は要望ノートの作成。
- まずは家族それぞれが書き、まとめ、整理して家族の要望書をつくる
- 最初は要望を出し切ることが大事。
- 具体的な形ではなく、住まい方のイメージを伝える
- イメージを伝えるためにはスクラップブックも有効
- 上手な要望は結果的に「お得」になる
- 優先順位を付ける
- 今の住まいの不満点を改善することで後悔が無くなる
- 家づくりの各段階において少しずつ見直していく
- 要望ノートで設計士を鼓舞しよう!!
意外と家族でも一人一人の「ふつう」は差がありますし、他人からするとなおさらです。
建築会社、設計士も人なので、イメージの共有なしでは思い描く理想の家づくりにたどり着くことはできません。
例えばバスタオルの使い方一つとっても、家族ごとに千差万別です。
「えっ土地探しとお金が先じゃないの?」
と思われる方も多いかもしれませんし、ちょっと面倒そうと思うかたがほとんどでしょう。
けれども、はじめに家族の要望をまとめることが、理想の暮らしへの羅針盤を作り、住まいづくりに関わる方々との最高のコミュニケーションツールとなります。
家族それぞれの要望を書き出してみよう。出し切ることが大事!
具体的には
要望リスト例
- なぜ家を建てようと思ったのか?
- 家族構成。プロフィール
- 好きなもの。嫌いなもの。
- 現在の一日のタイムスケジュール
- 希望の立地条件は?
- 子供の時の暮らしにかかわる思い出
- 家族でいる時の心地よい時間
- 一人でいる時の心地よい時間
- 休日の過ごし方。趣味。
- コレクションはありますか?
- 持っていきたい愛着ある家具
- 来客の頻度。どんな方々?
- 5年後、10年後、20年後のイメージ
- 好きな家事。苦手な家事。
- 新しい住まいでやってみたい暮らし方
etc…
以上を家族それぞれが自分で書き出してみてください(お子様は親が手伝ってあげてください)。
ポイントは箇条書きでも構わないので「なるべく全部出し切る」ことです。
いつも一緒にいるのに「えっそんなこと考えてたの!?」となることも多いです。
特に「好きなもの。嫌いなもの」については時間がかかっても良いのでスクラップブックを作成することをおすすめします。
スクラップブックは言葉にできないイメージや好みを伝えることに非常に役立ちます。ぜひ建物以外のものも集めてみてください。
特に、5年後、10年後、20年後のイメージは家族構成などは見落としがちなポイントです。
年齢は?家族構成は?仕事は?などなど
とても重要なのでなるべく具体的にイメージするようにしてください。
でも自分でゼロから作る時間なんてないよと思うパパへ
名著「家を建てたくなったら 丹羽修著」のP54~と巻末付録:住宅調書の1~4ページを参考にしてみてください。
丁寧な文章で分かりやすく、家を建てるまでの押さえどころが記されています。
2015年発売ですが、普遍的な内容が書かれています。家づくりの検討を始めた方へのバイブルです。
具体的な形ではなく、住まい方のイメージを!
家づくりの要望というと、どうしても
「リビングは20畳欲しい!」
「こども部屋は絶対6畳は欲しい!」
など大きさなどの形の要望を伝えてしまいがちです。
ただ、設計士の一番聞きたいことは
「朝起きてコーヒーがおいしく飲めると良いな」
「家族みんなで手伝いあうキッチンができると良いね」
「天気の良い日は外でご飯が食べたいね」
といった住まい方のイメージです。
例えば「のびのび開放的なリビングで庭を眺めたい」というイメージがあったとします。
でも20畳というキーワードからは「のびのび」も「開放的」も「庭の眺め」も伝わりません。
上手に設計すれば、10畳であっても理想の住まい方が叶えられることがあります。
とってもお得ですよね。なるべく上手に要望を伝えて、設計士の能力を最大限に引き出しましょう!
上手な要望 | 損する要望 |
---|---|
住まい方のイメージ 朝起きてコーヒーがおいしく飲めると良いな 家族みんなで手伝いあうキッチンができると良いね 天気の良い日は外でご飯が食べたいね | 具体的な形 リビングは20畳欲しい! こども部屋は絶対6畳は欲しい! |
優先順位をつけよう
家づくりでは全ての要望を叶えることは残念ながらできません。どうしても限られた予算とスペースの中で割り振りを決めていかなくてはなりません。
せっかくの念願のマイホームが「あれっ何か思っていたのと違うな」「なんかイマイチしっくりこないな」とならないように、優先順位を決めていきましょう。
一旦要望を出し切った上で家族会議を行い、どんな暮らしがしたいのか、要望の「優先順位」を決めていってください。
優先順位の付け方で住まいづくりに個性が生まれてきます。
例えば、明るい食卓でわいわいご飯を食べたいのか、それとも落ち着いた親密な食卓で家族のだんらんを楽しみたいのかなど、同じ「食べる」ことでもそれぞれの家族によって、理想の暮らし方には違いがあります。
家族で話し合いながら進めていくことで「これだけは!」という自分たちの理想が鮮明になってくるはずです。
同率1位となってもよいので大切にしたいものごとにランキングを付けるとより分かりやすいです。
現時点でどうしても優劣がつかない場合は、無理にはっきりさせず、そのまま悩みを書いてください。
自分たちで考えた優先順位は、打ち合わせの中で迷ったり、たくさんの決断をしていく際に大きな手助けとなってくれます。
今の住まいの「不満点」を具体的に伝えよう!
今までは家づくりに対する暮らし方などの「行動ベース」の憧れや理想を書いてきました。
ここで一度振り返ってほしいのは、考えてきた要望で現状の住まいの「不満点」が改善されているでしょうか?
「寒くてキッチンに立つのがつらいんだよな」
「窓の結露がひどくって掃除が大変」
「車の音がうるさくて眠れないんだ」
そんな日常の「具体的な不満」を振り返ってみてください。
それらが解決されるだけでも、家を建てて良かった!と心から思えます。
新しい家づくりは、どうしても現状との相対的な評価となりますので、なるべく「マイナス」を減らして「プラス」を積み上げる土台を作っていきましょう。
「強い要望がこれといってないんだけど」とおっしゃる施主は意外と多いのですが、そんな人にも「不満点の改善」をベースにすることで、「後悔しない家づくり」は叶えることができます。
お手製の要望書をまとめ、少しずつ見直していく
自分たちでまとめた要望書やスクラップブックは、ぜひコピーを建築会社、設計士に渡して控えをご自身でも持っておくようにしてください。
なお、要望書はノートやバインダーなどでひとまとめにしてもらえると設計士はとても助かります。
あらかじめ決まった要望リストを用意している会社も多いのですが、加えて「お手製」の要望書があることで設計士も住まいのイメージがしやすく、提案の精度が上がっていきます。
経験上、設計士のやる気を出す面でも多大な影響があります。
家づくりの様々な段階で、新たな要望が出たり、優先順位が入れ替わることもあります。
その度、家族で話し合い少しずつ資料を見直していくことも大切です。
家づくりは、気の遠くなるようなたくさんの決断の連続となります。
迷い悩む日々も多いかと思います。そんな時に要望ノートを見返すことで心強い味方となってくれます。
「注文住宅」は日常生活で過ごす、豊かな時間の価値を得るためのものです。
設計者は土地と家族構成が分かれば、間取りを作ることは簡単です。
けれども「心のこもった要望書」があることで、理想の暮らしを実現するために何日も掛けて何案も計画を練り直します。
それは設計士を動かすガソリンになります。ぜひ上手に設計士を鼓舞する要望ノートを作成してください!
まとめ
- 家づくりの第一歩は要望ノートの作成。
- まずは家族それぞれが書き、まとめ、整理して家族の要望書をつくる
- 最初は要望を出し切ることが大事。
- 具体的な形ではなく、住まい方のイメージを伝える
- イメージを伝えるためにはスクラップブックも有効
- 上手な要望は結果的に「お得」になる
- 優先順位を付ける
- 今の住まいの不満点を改善することで後悔が無くなる
- 家づくりの各段階において少しずつ見直していく
- 要望ノートで設計士を鼓舞しよう!!